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一皿のグラタン

メモ#1079:

そこは北海道、札幌。
「らざーろ亭」という小体な洋食屋でした。

「クリスマスグラタン」を食べる客で大賑わいでしたが、
そろそろ客も途切れた頃・・。

ガラガラガラ。
いらっしゃいませ。

そこには小学生くらいの男の子を連れ、
疲れた顔をした女性が。

「あのぅ、グラタン、一皿だけなんですが、よろしいでしょうか。」

「はい、結構ですよ。どうぞどうぞ。」

どこかで聞いたような話だぞと、すべてを察した店主は、
1.5人前のグラタンを、いつもより気合を入れて焼いたのでした。

ひとさらのグラタン

「おまたせしました。」

「うわーい、おもったより多いね。」

いっぱい食べるんだよ、と、店主は心の中でつぶやきました。

「わぁ、とりにくがいっぱい。」

いつもより、多めにしたんだよ、と、店主は心の中で・・。

「ぼく、鶏肉キラーい。」
「残しなさい。」と、母親。
「おかあさん、食べないの?」
「食べないわよ。グラタン嫌いだから。」
「なんだか味が薄いなぁ、ぼく、マヨネーズかけようっと。」
男の子は、グラタンにマヨネーズをかけまくりました。
良く見ると、息子は立派な、メタボ体型です。

「もう食べられないよう。」
「じゃぁ、帰りましょうか。」

店主の顔色が変わります。
しかし、今日はクリスマス、すべての人が優しくなる日です。

「お口に、合いませんでしたでしょうか?」
あえて丁寧に、店主が聞きました。

「ゴメンナサイね。さっきホテルでディナーを食べたあとなの。
 子供がどうしても、『最近流行りのちょっとコキタナイ店で庶民の味を食べたい』って、いうものだから。」
「ははぁ、そうですか。お会計1800円です。」

店主は普段の3倍の値段をふっかけました。

「あら、お安いのね。アメックス使えるかしら。」
「使えません。」
「まあ。じゃ、ダイナーズ・・」「使えません。」若干、喰い気味に店主が答えます。

「ぼくが払うよ。はい2000円。」ヴィトンの財布から、メタボな息子が千円札2枚を投げるようによこしました。
「あ・・・ありがとうございました・・。」
「おつりは取っといて。」
「めっ・・・。」

ガラガラガラ。

親子が出て行きます。店主はノレンを仕舞いました。
そのときかすかに、「最後に『めっ』て言ったね、『めっ』って言ったね。なにが言いたかったんだろうね。」
という、メタボ息子の声が聞こえました。

ノレンを仕舞った店主は、
1400円を、レジ横の「募金箱」に入れて、言いました。
「メリークリスマス」。
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テーマ : 北海道
ジャンル : 地域情報

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No title

やだ~あまりにいい話で
涙が止まらない!!!(笑)

小雪母ちゃん へ。

こんばんは。コメントありがとうございます。

> やだ~あまりにいい話で
> 涙が止まらない!!!(笑)

嬉しいお褒めのお言葉です。
私だって、たまにはこのような、心温まるオハナシも書けるのです。

ところで我が家の「さすけ」ですが、雪上の歩き方をまだ会得できていないようで、
アチラコチラで滑ります。まるでナイチノヒトのようです。
小雪さんにご指導いただきたいものです。

No title

こんばんは。

お金持ちという人種は時々、こういう行いをしたく
なるものなのでしょうね。

ただ、「らざーろ亭」。グラタン600円は安いですね。
私が今日、心斎橋のはr…おっとこれ以上は【機関】
に知られると不味いので明かせません。

>「最後に『めっ』て言ったね、『めっ』って言ったね。なにが言いたかっ
>たんだろうね。」

店主は謙虚ですから「めっそうもございません」と言いたかった
のでしょう。3倍の値段を吹っ掛けた位ですから・・・

kz-1 さんへ。

こんばんは。コメントありがとうございます。

> お金持ちという人種は時々、こういう行いをしたく
> なるものなのでしょうね。

大抵の場合、「途中でお金持ちになった」場合に・・。あ、もちろん意見には個人差が。

> ただ、「らざーろ亭」。グラタン600円は安いですね。
> 私が今日、心斎橋のはr…おっとこれ以上は【機関】
> に知られると不味いので明かせません。

エビグラタンはもうちょっとお高いです。
とにかくこのお店の一人前は、そこらの喫茶店の2倍くらいはあります。
心斎橋関係に関しては、これからじっくり推理しようかと思います(笑)。

> >「最後に『めっ』て言ったね、『めっ』って言ったね。なにが言いたかっ
> >たんだろうね。」
>
> 店主は謙虚ですから「めっそうもございません」と言いたかった
> のでしょう。3倍の値段を吹っ掛けた位ですから・・・

それに関しては、「永遠の謎」としておきましょう。

No title

こんばんは。
心温まる良い話でした(笑)
この話を聞いて会社の○長を思い出しました。
まさにこのような人格の方なのです。
もち人徳なんてものありゃーしない方です(苦笑)

募金箱に入れなすった店主・・・良いことなさいましたね。

追伸:グラタンと聞いてなぜかドリアが食べたくなりました。



ろでむ さんへ。

こんばんは。コメントありがとうございます。

> 心温まる良い話でした(笑)
> この話を聞いて会社の○長を思い出しました。
> まさにこのような人格の方なのです。
> もち人徳なんてものありゃーしない方です(苦笑)

私のブログの読者様ときたら、
社長が「残念」な方が多いのですね。
リンク先にもそのような方が・・(笑)。

> 募金箱に入れなすった店主・・・良いことなさいましたね。

クリスマスですから。

> 追伸:グラタンと聞いてなぜかドリアが食べたくなりました。

その気持ちもわかります。
私はドリアを見たり聞いたりすると、グラタンが食べたくなります(笑)。

No title

もし女王さまが店主であれば
この親子が出て行ったあとに塩をまいて清めてから
のれんをしまいます。(笑)

女王さま へ。

こんばんは。ご機嫌麗しゅう。

> もし女王さまが店主であれば
> この親子が出て行ったあとに塩をまいて清めてから
> のれんをしまいます。(笑)

「塩まきバージョン」もあったんですよ、最初は。
ただ、私の心の中の、「ホワイトらざーろ」が、このようなオチを選んでしまったようです。

女王様なら、塩じゃなくてムt・・。

No title

こんばんは
確かこのお話、次の年のクリスマスも、
その次の年も、家族でグラタンを注文しては残していく
不思議な家族でしたが、ある年を最後に
全く来なくなって、店主もすっかり忘れた
二十年後のクリスマスの夜に
大人になった あの少年の家族がやって来て
母親が、グラタンを一皿注文し・・
そして大人になった少年が・・・
そんな
ハートフル恐怖小説じゃなかったでしたっけ?

もーりー さんへ。

こんばんは。コメントありがとうございます。

> 確かこのお話、次の年のクリスマスも、
> その次の年も、家族でグラタンを注文しては残していく
> 不思議な家族でしたが、ある年を最後に
> 全く来なくなって、店主もすっかり忘れた
> 二十年後のクリスマスの夜に
> 大人になった あの少年の家族がやって来て
> 母親が、グラタンを一皿注文し・・
> そして大人になった少年が・・・
> そんな
> ハートフル恐怖小説じゃなかったでしたっけ?

だいたいそんな感じです(笑)。
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